徹底比較!大洋「エースラック」vs白井産業「スロフィー」

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白井産業・スロフィー SLF-1860 NA

出典:Yahoo!ショッピング

大洋/エースラック 白井産業/スロフィー

今回は日本有数の家具産地・静岡県は島田市に本社を置く、大洋(株)と(株)白井産業の「似て非なる」それぞれの書棚を徹底比較!

エースラック、スロフィーともにご存じない方からすれば、ただの組立式書棚という印象しかないと思います。しかし、この2つは「固定棚のないフルオープン構造」であるという点と、「サイズバリエーションが豊富でサイズオーダーも可能」という共通点があるのです。これはすごく画期的なことなのです!

では早速、それぞれの特徴と違いを見ていきましょう。

注1:エースラックはナチュラル色以外の場合はカラーラックというのが正式名称ですが、便宜上、ここでは全色ともにエースラックと呼ぶことにします。
注2:エースラック、スロフィーともに、既製品のみの取扱店とオーダー品のみの取扱店、両方を取り扱う店があり、またオプション品は一部店舗のみが扱っているなどの事情により、リンク先のショップが統一されていないことはご容赦ください。
2014年に白井産業から「タナリオ」が発売され、入れ替わるかたちでスロフィーは販売を終了しました。エースラックとタナリオの比較は下記をご覧ください。なお、白井産業は2017年に民事再生法適用を申請しましたが、2024年現在も元気に営業中です。
【サイズオーダー本棚徹底比較】白井産業「タナリオ」vs大洋「エースラック」
サイズオーダー本棚・白井産業「タナリオ」と大洋「エースラック(カラーラック)」を徹底比較。構造の違いはあるものの、価格、ホルムアルデヒド、加工、オプション、サイズバリエーションなどいずれをとっても、エースラックの圧勝と言えるでしょう。
タナリオなどでお馴染みの組立家具メーカー最大手「白井産業」が民事再生法申請
組立家具メーカー国内最大手の「白井産業」が2017年11月6日に民事再生法の適用を申請しました。サイズオーダー書棚の「タナリオ」などでお馴染みのメーカーです。製品の15%が本社工場での生産、85%がベトナム子会社での生産体制だったそうですから、ホルムアルデヒド等級F☆☆だったのも納得です。

<比較1>固定棚のないフルオープン構造

普通の書棚には固定棚がある エースラック AR1860 NA
一般的な書棚 フルオープン構造

「固定棚がない」と言われてもおおよそ一般の方にはその意味はまったく分からないかもしれませんね。普通の書棚には左右の側板が広がらないように、必ずある程度の高さに棚板が1枚以上固定されています。これがいわゆる固定棚で、対して棚ダボを好きな位置に付けてその上に載せる棚板を可動棚と呼びます。

棚板の全部が可動棚だと本などの大きさに合わせて自由に棚板をセットできてスペースに無駄がないのですが、本棚全体の強度を保つために固定棚が必要なのですね、一般的には。その常識に反して、全部の棚板を可動式の棚にしたのが、エースラックであり、スロフィーなのです。

ちなみに、エースラックとスロフィーではこの構造を実現するために使っている方法が下写真のように異なっています。スロフィーの方式は取り付けが固くてちょっと大変ですが、一方でエースラックのほうは棚受け部品が出っ張って邪魔だという意見もあるようです。

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大洋/エースラック 白井産業/スロフィー

<比較2>サイズ&カラーバリエーション

エースラックとスロフィーに共通する大きな特徴は、幅1cm単位でサイズオーダー出来るという点です。オーダー家具と言えば10~20万円は下らなかったのが、たった1~3万円程度でオーダーできるようになったのですから、これが出てきた頃は本当に衝撃的でした!幅15~90cmですが、すき間に合わせて設置することも出来ますし、2本以上を組み合わせればどんなに広いスペースにでも対応できますね。

サイズバリエーションはエースラック、スロフィーともにほぼ同じですが、既製品ではスロフィーのほうが高さバリエーションが多くなっている一方で、サイズオーダーではエースラックのほうが高さバリエーションが多くなっています(ともに幅は1cm単位でオーダーできますが、高さや奥行は用意されているサイズから選ぶ形になります)。

エースラック スロフィー
既製品 一覧 一覧
サイズオーダー 一覧 一覧

既製品以外は通常納期約2週間掛かりますし、値段も約30%ほど高くなりますので、特にサイズや色などにこだわらなければ既製品がお得です。逆に、たった30%増しで自分が求めるスペックの書棚を手に入れることが出来ると言うことも出来ます。

また、カラーはエースラックはナチュラル、ホワイト、ブラウン、ブラックほか計7色ですが、スロフィーはナチュラル、アイボリー、ブラウンほか計10色です。

<比較3>強度

全体としてエースラックのほうがスロフィーより頑丈に出来ている感じがします(あくまで個人的な感想)。

エースラックは既製品の幅70.2cmタイプは棚板耐荷重30kgのタフ仕様棚を選ぶことが出来ますし(通常は耐荷重10kg)、その場合は全段が可動固定棚となります。またサイズオーダーでも幅45~90cmはタフ仕様が選べます(幅71~90cmのサイズオーダーの場合はタフ仕様のみ)。

スロフィーの場合はちょっと違っていて、既製品にはエースラックで言うところのタフ仕様はありませんが、幅71~90cmのサイズオーダーの場合は棚板厚が29.5mmとなり、奥行に応じて耐荷重15~25kgとなります。

通常はスロフィーの仕様でまったく問題ないですが、強度が気になる場合はエースラックのほうがオススメかもしれません。

<比較4>オプション

今まではエースラックとスロフィーのほぼ共通なポイントを見てきましたが、ここからは違いの部分を見ていきたいと思います。

まずスロフィーに用意されているオプションは、上置、追加棚板、そしてインナーボックスのフバコとキバコです。

対してエースラックはというと、上置(突っ張り棚)、追加棚板、そして扉(幅60~90cmサイズオーダー対応)です。

特に違いがあるのが上置(突っ張り棚)。スロフィーは高さ1タイプしかないのに対し、エースラックは6タイプもあります。そのため、エースラックのほうが圧倒的に上部空間の無駄なく収納スペースを確保できると言えます。

また、構造もちょっと違いますね。スロフィーは天井と面で接する構造ですが、エースラックは線で接する構造。またスロフィーは突っ張り金具のネジが上置の内側に飛び出しているので収納スペース内で邪魔ですが取り付けやすい構造ではあります。エースラックのほうは逆にちょっと取り付けにくいですが、強度を確保する上で好ましい構造であると言えます。昨年からスロフィーの上置もエースラックと同じ仕様になりました。

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大洋/エースラック 白井産業/スロフィー(旧) 白井産業/スロフィー(新)

そのほか、エースラックには、棚板ピッチを細かくする棚板移動1.5cmピッチ加工(本体のみ対応)、幅木よけ加工、AV機器などのコードを通すのに便利な裏板穴加工、同じくタフ棚板穴加工、側板連結穴加工がオプションとして用意されています。

<比較5>デザイン

今までのところを見る限り、基本的にエースラックがやや有利な感じですが、デザインに関しては、ささいなことながら個人的にはスロフィーのほうが好きです。

エースラックは写真や家具店等での展示を見ると天板の前面に[ACE RACK]のシールが張り付いていますが、これは現在では商品同梱ではありますが最初から張ってある仕様ではありません。

また、同じく天板の前面ですが、エースラックは軽くアールがついているものの、のっぺりとしたデザインで、対してスロフィーのほうは額縁のようなケーシング形状です。

あと、ナチュラル色はどっこいどっこいとして、エースラックのブラウン色はちょっと木目が一世代前の印象です。

<比較6>価格

価格に関しては、細かいところで強度面のこだわりがあるからかエースラックのほうがちょっとだけ高いです。スロフィーのほうが取扱店舗数がかなり多いために競争が激しいというのもあるかもしれませんが。

幅59cm×高さ178cm程度の既製品で比較した場合、スロフィーSLF-1860で7,059~14,278円、エースラックAR1860で8,900~13,500円(ともに税込、2014/02楽天市場にて)。

ちなみに、スロフィーは高さ180cmタイプの場合、棚板は5段ですが、エースラックは高さ178cmタイプの場合、棚板は6段あります。確かに、このくらいの高さだと、スロフィーの場合は単行本や実用書が多い場合は棚板が足りないように感じることがあります。ひょっとするとこのあたりも値段の差になっているのかも?(両者の間に棚板の枚数に違いがあるのはこの高さだけです)

<比較7>健康対策

エースラックはこれまでF☆☆☆以上と表記していたのですが、2012年3月からF☆☆☆☆となりました。一方でスロフィーはと言うと、恥ずかしながら私も今まで全く気付かなかったんですが、既成品はF☆☆、オーダー品はF☆☆かF☆☆☆☆のいずれかから選べるという形になりました。

何故「お恥ずかしながら」なのかと言うと、まさか国産家具メーカーでF☆☆の合板を使用しているところなんてもはや存在しないと信じていたことです。JISとJASの規格が統一される以前に「F2合板を使用している国産家具メーカーは既にない」という状況でしたので、当然F☆☆を使用しているメーカーも存在しないと勘違いしていたのです。

ちなみに、スロフィーのオーダータイプでF☆☆仕様とF☆☆☆☆仕様を比較すると、30~45%程度の価格差があります。これを前提にエースラックとスロフィーの価格を比較すると、エースラック(F☆☆☆☆)はスロフィーのF☆☆仕様と同程度の価格で、スロフィーのF☆☆☆☆仕様はエースラック(F☆☆☆☆)よりも3~4割も割高ということになります。

この違いは大きいです。健康面から言えば、断然エースラックのほうが買いです。

まとめ

独断と偏見でまとめてしまいますが、まず強度面から見ると、エースラックのほうがやや安心感は強いかと思います。ただし、エースラックの樹脂製の棚受けが変形しているのを見たこともありますし、一方でスロフィーの側板が広がっているのも見たこともありますので、表示されている耐荷重以上の期待は禁物です。あくまで一般的な組立家具よりは頑丈であるという程度で、それ以上を期待するならば完成品の書棚(通常6万円くらいから)を検討したほうが良いでしょう。

また、オプション(加工)の豊富さから、エースラックは単なる書棚ではなく、総合的な収納ラックへ飛躍を遂げていると言うことが出来ると思います。一方で突っ張り棚を載せ、各種加工をすると、安い壁面収納家具とそれほど変わらない値段になってくる場合もあります。

残念ながらエースラックやスロフィーの見た目は組立家具の域は超えませんので、見た目重視の場合は他の家具等も検討したほうが良いかもしれません(参照:「徹底比較!壁面収納家具」)。ただし、やはり書棚と他の家具とは棚板の可動範囲などで構造が基本的に違いますので、書籍等を中心に置くなら、エースラックやスロフィーがオススメです。

あと、エースラックは商品番号が分かりにくかったり、オプションが多かったり、仕様がちょっと複雑だったり、既製品を扱わずにサイズオーダー品のみの取扱店舗やその逆の店舗が多いため、かなり選びにくいです。これは収納マンが家具店に出入りしていた経験上、致命的な問題ですね(説明しにくい商品は売りにくい)。

一方でスロフィーのF☆☆仕様は、時代錯誤も甚だしい、「不健康家具」と言わざるを得ないでしょう。普段はあまりホルムアルデヒド対策についてはうるさく言わない収納マンですが、この点はアンチ・スロフィーに転じるに値するものがあります。

このページではそういった様々な点を踏まえた上で出来るだけ分かりやすくしたつもりですが、発注の際はくれぐれもご注意ください(店舗への電話確認などしたほうがベターだと思います)。

*この記事は2011/03中旬時点の情報で作成しております(2014/02一部修正)。

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