2.学習机の選び方(1)スタイル、メーカー、素材について

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学習机市場の近年の動向を一言で言えば「多様化」。少子化によって市場が縮小し、メーカー間の競争が激しくなったのと、消費者のライフスタイルや価値観も様々になったためです。そのため、学習机と一言で言っても昔に比べると色んなバリエーションがあり、なかなか絞り込むのが難しくなっています。

というわけで、家具メーカー出身で、特に学習机にはウルサイ学習机評論家の収納マンが、学習机選びのコツをお教えしましょう!

(2015/06/15一部改定)

[1] スタイル

昔ながらの学習机らしいスタイルがメインである一方、最近は様々なスタイルがあります。使い勝手やレイアウトにも大きく影響しますので、非常に大きなポイントと言えます。

個人的にはシンプルなベーシックデスクがオススメですが、リビングに置く場合はユニットデスクや天板昇降式デスクも良いと思います。リビングから子供部屋に移動することを念頭に置いて組み合わせデスクを選択するというのもアリでしょう。逆に、学習環境の良くないライティングデスクやベッド下収納式のデスクはあまりオススメできません。

ベーシックデスク


一般的な上棚付きの学習机で、棚の背が低いロー棚タイプと、棚の背が高いハイ棚タイプに分かれます。近年は圧迫感が少ない、ハイ棚は子供っぽいなどの理由からロー棚またはミドル棚のほうに人気があります。

【メリット・デメリット】これが基準なので特にメリットもデメリットもありません。ちなみにハイ棚は収納力はありますが、小学校低学年児は上まで手が届きにくく、成長して手が届くようになると子供っぽいからと外してしまう傾向があります。

ユニットデスク


ベーシックデスクと異なり、基本的には本体、袖ワゴン、上棚、書棚が別々に販売されており、組み合わせパターンを選べる学習机。もしくは横に書棚が付いたタイプの学習机のことを指す。デザインがシンプルなものが多く、リビングに置きたい場合や新入学時に学習机を買わなかった子供用に選ばれることが多い。

【メリット・デメリット】メリットは幅の大きな本体が多いことや必要なアイテムだけを組み合わせられる点。デメリットはすべて別売りのためセット品に比べると割高感がある。近年は需要増に伴い選択肢も増えつつある。

組み合わせデスク(組み替えデスク)


一見、ベーシックデスクに見えるものが多いが、棚を分割してロー棚と足元棚にしたり、書棚単体として使ったり、L字型にレイアウトすることが可能。高学年になると上棚を処分してしまうのがもったいないという発想から生まれた。

【メリット・デメリット】将来の子供部屋に書棚を置き、リビングにデスク本体を置いて使用するということも可能。またシーンに合わせて多彩なレイアウトが選べるという半面、現実にはレイアウトに変更の余地がないことが多く、結局無駄になることも。書棚として使うのも中途半端で使いにくい。

天板昇降式デスク


20年以上前にもコクヨの「くるくるメカ」が流行ったことがありますが、近年はオカムラのピエルナやベネッセ&カリモクの学びデスクを中心に再びブレイク。そしてここ数年は減少。

【メリット・デメリット】天板を低くすると進入学児が座りやすいというのが一番のメリット。また圧迫感が少ないためリビングに置いても違和感が少ない。他方で袖ワゴンが小さくなるため、収納力は少なく、実際に学習机が必要な時期に不十分と言える。

ライティングデスク


天板を収納することができ、設置スペースが少なくて済むのが大きな特徴。また他の家具と並べても収まりが良いです。最近はまったく流行らず、主要メーカーではイトーキのみとなった。

【メリット・デメリット】設置スペースが少なくコンパクトな半面、受験勉強などで広い天板が必要になる頃には役不足。また、作業面に間接照明が届きにくいため、学習環境としてはイマイチであると言える。また基本的に幅が狭く、袖ワゴンも小さいことが多い。

ベッド付きデスク(システムベッド)


学習机とベッド、商品によってはチェストなどもセットになった商品。組み合わせを選べるものもあります。基地のようなので子供にも人気があり、少ないながらもニーズは底堅いものがあります。

【メリット・デメリット】デザインを統一できるというのが最大のメリット。ベッド下にデスクを置く場合は省スペースで設置できる半面、圧迫感が強い、間接照明が届きにくい、成長すると狭苦しく感じたり頭を打つなどのデメリットも多い。また、大きいためレイアウトの変更は困難です。

[2] メーカー

大きく分けてデスクメーカー系と一般家具メーカー系とに分かれる業界構造ですが、いったいどういうメーカーがあって、それぞれどういう特徴があるのか、以下の表にまとめてみました。

予算に問題がなければ、一般家具メーカー系の浜本工芸やカリモク家具が素材や品質が良いのでオススメですが、デスクメーカー系のイトーキやコイズミも機能的にしっかり考えて作っておりオススメと言えます。

コイズミファニテック

おそらく市場シェアNo.1。ポケモン、ディズニーなど強力なキャラクターを持っているのが強み。また照明器具の小泉産業グループであることもデスクライトでアドバンテージを持っていると言える(2006年に小泉産業から分社)。

イトーキ(旧・イトーキクレビオ)

オフィス家具メーカーであり、そのノウハウをうまく木質系学習机を融合させている感がある、スマートな印象あり。価格帯は若干高めの印象。キャラクターは妖怪ウォッチ、スタジオジブリ、仮面ライダー、ウルトラマン、トミカなど。

オカムラ(岡村製作所)

同じくオフィス家具メーカーだが、イトーキよりも学習机にもオフィス家具っぽさがある。そのためかキャラクターは採用していない。天板の奥行を15cm伸ばせる「のびデカデスク」で有名だったが、近年は天板昇降式デスクのピエルナ・シリーズが人気。

くろがね工作所

同じくオフィス家具メーカー。サンリオ、スーパーマリオなどキャラクターは採用するなどオカムラよりは学習机らしさがあるが、ラインアップは良くも悪くもオーソドックスな感じ。また他社にないカラーで勝負している印象。近年は落ち目。

浜本工芸

皇室に献上したということで家具メーカーの中では一躍トップブランドに。近年のナラ材デスクの流行を作ったとも言える。ただし近年はデザイン面などで他社を真似たようなものも多く、必ずしもイニシアティブを握っているとは言い難い。

カリモク家具

総合家具メーカー大手であり、ライフスタイル提案型の商品づくりがうまく、本格的に学習机に力を入れ出したのはここ10年ほどながら、ベネッセと共同開発した「学びデスク」をヒットさせるなど、高級学習机市場で主導権を握っている感がある。

ヒカリサンデスク(光製作所)

座椅子など和家具に強い家具メーカーで、ヒカリサンデスクと言えば熟年層には認知度が割りと高い。近年はタモ無垢のモデルが主力。見た目は地味ながら比較的手頃な価格で支持されていると思われる。

マルニ木工

業績悪化のため家電販売大手のエディオングループの傘下となったが、アンティーク系など独特のデザインのデスク、自然塗装のナラ無垢デスクなどに特色を見出している。一時よりはシェアを落としている。

堀田木工所(hotta woody)

箱物家具主体の家具メーカーで、学習机はここ10年ちょっとの後発。デザインは他社に類似している感が否めないが、アルダー無垢素材の手頃な価格の国産デスクで強みを発揮した。

杉工場

このリストの中では最後発のメーカー。堀田木工所と同様、自然塗装のアルダー無垢材を使った学習机が中心。ヒノキ無垢のものもある。近年、堀田木工所よりも存在感を高めつつある。

飛騨産業

キツツキマークでお馴染みの総合家具メーカー。学習机は2006年度(?)からのため、機能的には後れを取るが、デザインは優れており、完全に大人向けのシンプルな感じ。木の素材感をうまく引き出している。

小島工芸

主に関東でのみ販路を持つ書斎家具専門メーカー。90cm幅のコンパクトなデスクを持っていることがひとつの強み。

大塚家具製造販売

家具販売大手のIDC大塚家具とは無関係。大塚製薬グループの企業である。ドレッサー、ベッドなどに強みを持つ家具メーカーで、10年ほど前に学習机市場に乗り出した模様。ドレッサーなどと同様、ソツのない作りで手頃な価格の商品が特徴。

 

*順不同。
*2015年度データ。
*コクヨは10年以上前に家庭用学習机市場から事実上撤退。
*チトセはアイリスオーヤマの支援を受けてアイリスチトセとなるが学習机からは撤退。
*コスガは2008年に倒産。
*奥本木工所(オクモト)は2013年に倒産。

[3] 素材

一般家具メーカーの学習机に注目が集まった10年ちょっと前は猫も杓子も最高級家具用材であるナラ集成材に人気が集まりましたが、実際には多くがオークで、最近では概ね正確な表記がされています。

ナラ集成材は堅く傷が付きにくく木目が美しいのが大きな特徴ですが、近年は木目の少ないアルダー材やブナなども人気があります。

ナラ幅ハギ(集成材)が高級とされますが、一方で主流はやはり低コストなMDF(繊維合板)に木目を印刷したものです。

MDF(繊維合板)

木クズを繊維状にして接着剤で固めたもの。強度は十分で、エコな素材と言える。学習机の天板としては、以前はプリント紙を貼り付けたものが多かったが、近年は技術の進歩により木目などを直接印刷できるようになった。

プリント紙

芯材は通常、MDFかフラッシュ合板。フラッシュ合板とは木クズを接着剤で固めたパーティクルボードと合板で作った中空構造の板のこと。しょせん紙なので、見た目に貧相で、表面強度もあまりない。

突板

天然木を薄くスライスしてフラッシュ合板やハニカム構造の合板に貼り付けたものが一般的。ハニカム構造とは、ハチの巣状にした厚紙を合板の間に挟んだもので、強力なダンボールのようなもの。

集成材(無垢)

天然木を継ぎ合わせて一枚の板にしたもの。大きな角材を繋ぎ合わせた幅ハギと、小さな角材を継ぎ合わせたフィンガージョイントが一般的で、幅ハギのほうが美しく高価とされる。

パイン

松のこと。節が多く、比較的軟らかい木。キズが付きやすいため近年は学習机としては扱われることが少なくなったが、独特の風合いを好む人は少なくない。

ラバーウッド

ゴムの木。以前はエコな天然木と言われ主流だったが、ダイレクトプリントのMDFが一般的になった昨今、学習机用として使われることはほとんどなくなった。

ヒノキ

木質感や香りが良いということで近年学習机として使われるようになったが、比較的軟らかい木であるためキズが付きやすい。

ニレ

楡(にれ)。ナラ材よりも安価で木目が強いことから一部メーカーで使われていたが、近年はほとんど使われていない。

タモ

北米ではホワイトアッシュ。野球のバッドにも使われており、家具用材として一般的。加工がしやすいのが特徴。木目は平行線状の柾目(まさめ)で美しい。

アルダー

木目が少ないことで近年人気がある。堅さは針葉樹並みに軟らかいほうで、広葉樹では一番軟らかい部類。

オーク

レッドオーク、ホワイトオークが一般的。ナラと同じような美しい木目を持つが厳密に言うとナラとは異なる。家具業界では長年、オークもナラと呼ぶ傾向が強く現在は是正つつあるが、今なお混同され続けている。

ナラ

木目が美しいことと堅さが十分であることから家具用材として重宝されている。虎斑(とらふ)という模様があるものが本来高級品だが、気持ち悪いと言う人もいる。

 

ちなみに、木の素材も大事ですが、塗装も重要です。近年は塗装はウレタン樹脂塗装が一般的ですが、オイル仕上げ(自然塗装)のものもあります。たとえばアルダー材の場合、ウレタン塗装にすればツヤが出て木質感は若干失われますが、表面硬度は鉛筆の芯に負けない程度になる一方、オイル仕上げは質感が良い一方でキズが付きやすく汚れやすくなります。また定期的にオイルを塗り込むなどメンテナンスが必要になります。個人的には、学習机を道具として見る場合、オイル仕上げはあまりオススメできません。

 

以上、スタイル、メーカー、素材について見てきました。続いては、価格面、購入時期などについてお話したいと思います。 →「学習机の選び方(2)」へつづく

 

【オススメ】「学習机評論家のオススメ」でも学習机について書いています

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