1.木質系素材の見分け方

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ネット通販は上手に使いこなせば都心に出て行かなくても世界中の商品が買えるし、リアル店舗で買うよりも金額が安かったりと、お得なことが多いですから、利用しない手はありません。

しかしながら、通信販売で商品を買って失敗した経験がある方が多いのも事実です。写真のイメージと実物の雰囲気が違っていたということが「失敗した!」と思う原因になっていることが多いようですが、こと家具に関しては一昔前は返品率が30~50%とも言われていました。

最近は衣類の場合などは、素材の名称だけでなく、素材感が分かりやすいように、表面の拡大写真を載せていることもあるのですが、家具の場合はそこまでしてくれていることが少ないのが実情です。ですから、衣類ならアクリルがどんな素材かを知っているように、家具でも例えば中繊維合板がどういった素材なのかを知っておかないと、賢い買い物は出来ません。

というわけで今回は、主な素材素材について見て参りたいと思います。

材質の構造

天然木

無垢板、集成材と呼ぶこともあります。高級な座卓を除いて、いわゆる「一枚板」というものではなく、多くは木の角材を接いだものです。その中でも、ボーダー状に角材を並べて接いだものを「幅接ぎ(はばはぎ)」、レンガの壁のように細かい角材を接いだものを「フィンガージョイント」と呼びます。幅接ぎのほうが1本1本の材が大きいので木目がきれいに見え、高級感がある一方で値段も高級。フィンガージョイントは若干安っぽく見えるものの、幅接ぎよりも変形が少ないと言えます(木というのはカットされてからも膨張を繰り返すので割れたり反ったりする可能性がある)。通販で単に「天然木」と表示されている場合、多くがラバーウッドやパイン材など安価な材質であることが多いです。

突板(つきいた)


木材を薄くスライスして何らかの芯材に貼り付けたものを突板と言います。天然木に比べて安価で、高級感も保たれます。深く傷がついた場合は、中の芯材が見えてしまうこともあるものの、彫刻等で彫るようなことが無ければまず問題ありません。

プリント合板


プリント合板は3段カラーボックスのほか、多くの箱物家具に使われています。合板などに木目を印刷した紙を貼りつけたものです。紙なので、キズに弱く、セロハンテープを張って剥がすと表面が剥がれるものが多いです。ただし、次に説明するエンボスシートと同様に剥がれにくい「強化プリント紙」というものもあります。

エンボスシート

プリント合板の木目に合わせて凸凹をつけたもの。プリント紙より上級で強化プリント紙と呼ばれることもあります。素人では突板との判別は難しいほどです。セロハンテープを貼って剥がしても表面が剥がれることはまずありません。

MDF


MDF合板は中繊維合板と呼ばれることも多いです。木材を繊維状にして固めたもので、悪く言えば厚紙の親玉ですが、強度は十分ありますし、表面は滑らかです。無印良品の「パルプボードボックス」などにも使われています。

パーティクルボード

パーティクルボードは木材を粉砕して固めた板です。MDFとの違いは、表面材として使われることがなく、合板の芯材に使われることが多い点。タンスや食器棚、カラーボックスの側板や棚板の芯材として使われるため、食器棚などの後ろ側から見ることができます。水気に弱く、水分を吸うと膨張してしまいます。

ハニカムコア合板

ハニカムコア合板とは、蜂の巣状に紙を組んで芯材として使った合板です。厚みのある割には軽いのが特徴。デスクなどの天板に使われることがほとんどです。

ランバーコア合板

ランバーコア合板はファルカタ(洋桐)やラバーウッド(ゴムの木)の無垢板を芯材に使った合板です。ファルカタが芯材のものはホームセンターでもDIYボードとして売られていますが、ラバーウッドの芯材のものは食堂テーブルや学習机の天板として見られるくらいです。

フラッシュ合板

写真を撮る際のフラッシュとは関係ありません。フラッシュ合板とは、中空合板とも言い、芯が中空で、板の四周と一部にパーティクルボードなどの芯材が入っただけのもの。カラーボックスを蹴ると穴が開くのはそのため。室内ドアや家具の側板・棚板などはほとんどがこの構造です。

木の種類

ラバーウッド

ゴムの木からゴムを搾り取った後の廃材(=エコ素材ともいう)。家具用材としては十分な堅さがあるが、爪の先を押し付ける程度で傷が付くレベル。成長が早いので木目はほとんどなく、高級感に乏しい。

桐(ファルカタ)

多くの場合、正確にはファルカタ(洋桐)という素材。本当の桐は相当高く、婚礼箪笥など高級品にのみ使用される。ファルカタの場合、本来の桐よりも性質は若干劣るが、湿気が高くなると膨張し、乾燥すると収縮するので、タンスの引出の内部材として重宝される。非常に軽く軟らかいのが特徴。また、本物の桐は汗や水滴が付くと紫色に変色して戻らないので注意(キチンとアク抜きした超高級品は別)。

パイン

日本で言うところのマツ。節が多く、比較的硬い。加工もしやすい。黄みがかったイエローパイン、白っぽいホワイトパインなど、種類は多いが、無着色の場合、飴色に変化してくるのが特徴。また、程度が悪いとヤニ(松脂)が出てくることがある。注意したいのは、例えば食器棚やタンスの場合、引出や扉がパインの無垢板で、側板がパインの木目のプリント合板の場合、経年変化とともに、プリント紙の色はそのままで、扉や引出だけが飴色に変化して、非常に安っぽく見える場合があること。また、無垢板の場合、変形しやすく、新品で届いても全く変形していないことはまず無い。

ナラ(楢)

家具用材としては最高級材。かなり重い。木目がキレイで、フローリングや建具などにもよく使われている。また、木目調のカラーボックスのプリント合板も、多くがこの木目を模している。飛騨の家具や北海道の家具で高級家具として使われることが多いが、残念ながら現在はほとんどが中国、ロシア、北米などで取れた木材。国産は皆無で、等級は複雑だが、一般的に国産以外では中国産が比較的程度が良い。

ブナ

木目がハッキリしないが、年輪の模様はある。最近はフローリングなどにもよく用いられる。

メープル

もみじのこと。木目は無く、細かい線が斑点のように出ているのが特徴。やや赤みがあり、突板として使われることが多い。

シナ

食器棚やタンスの裏板の合板の表面や、押入の内部材に使われることが多い。木目はほとんどなく、加工により比較的表面は滑らか。近年の家具はほとんどホルムアルデヒドが使われることが無いが、臭いがこもるのは、たいていこの木材の臭い。

ラタン(籐)

多くの等級があるが、通信販売で扱われているのはほとんどが一番最低ランク。一番良いものは表面に皮が付いていて非常に貴重で高価。何十万円とする。

 

通信販売で見かける主だったものはこの程度ですね。これだけ分かっていれば、素材についてちゃんと表示していなくても、電話で聞けばだいたい分かるはずです。ただし、色に関しては光の当て方によって見え方が違うので、色で失敗したくなければ、実物を見て買えるお店がいいでしょう。ちなみに、お店で見た場合も一般家庭の照明とは異なるので、例えばタンスなら引出しを一個だけでも外して自然光の下で確認することが必要です。

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