カラーボックスとはその名の通り、カラフルな収納ボックスです。和歌山県海南市のクロシオというメーカーが作り始めたもので、高度経済成長期には国内で普及したことはもちろん、海外に向けても大量に輸出されました。
当時は中空構造のフラッシュ合板を使ったカラーボックスが一般的でしたが、21世紀に入ってアイリスオーヤマがベタ芯の「CBボックス」を発売。どこでもネジを留められるという便利さが受けて、カラーボックスを使ったDIYがブームになりました。
その後、店舗網を全国に広げつつあったニトリが可動棚板を備えたカラーボックス(リンク先は現行仕様)を発売。ともすれば画一的で使いにくさのあったカラーボックスは「可動棚板が当たり前」と言わんばかりに、各ホームセンターでも同様の構造が採用されました。
その後しばらく目立った進化が見られなかったカラーボックスでしたが、またしてもアイリスオーヤマが革新を起こしました。それが「モジュールボックス」です。
※この記事は2019年4月18日時点の情報に基づいています(2024年3月18日一部更新)
アイリスオーヤマ・モジュールボックス
カラーボックスは単にカラフルな収納ボックスというだけではなく、サブロク合板(3×6尺合板)を効率良く切り出して作ったコスパの良い組立家具です。一方で、アイリスオーヤマの「モジュールボックスMDB-3」(上写真)は、ヨンパチ合板(4×8尺合板)を使っています。いや、本当のところは分からないんですけど(苦笑)、私はそれで間違いないと考えています。
実用書やA4ファイルの収納に最適
ヨンパチ合板を効率良く切り出して作ったモジュールボックスのサイズはW366×D290×H732mm(3段タイプの場合)。一般的なファイルボックスはW420×D290×H880mmくらいなので、幅と高さが1割強コンパクトになっていると言えます。
そうするとどうなるか。従来のファイルボックスでは縦置きで実用書(A5判)を収めても横置きでA4ファイルを収めても中途半端な空間が残ったところ、モジュールボックスなら無駄な空間が生じないのです。
押入れやクローゼットにも最適
上図はアイリスオーヤマのCBボックスとモジュールボックスを一般的な一間幅の押入れに収めた状態を表しています(CBボックスは緑色、モジュールボックスは赤色)。これをご覧いただければ分かる通り、従来のカラーボックスは押入れなどに収めるにはちょっと大きいのです。逆に、モジュールボックスは押入れにちょうど良いサイズと言えます。
押入れだけでなく、クローゼットの場合も同様です。日本の住宅の多くは910mmグリッド、つまり半畳を基準に設計されているので、柱や壁を考慮すると従来のカラーボックスではちょっと大きいのです。縦置きで2つ並べて、もしくは横置きにして732mmのモジュールボックスは極めて日本の住宅と相性が良いと言えます。
ラインナップ
品番 | 仕様 | サイズ(mm) | 税込価格 |
---|---|---|---|
MDB-2K | 2段・可動棚 | 366×290×494 | |
MDB-3 | 3段・固定棚 | 366×290×732 | |
MDB-3K | 3段・可動棚 | ||
MDB-3S | TV台 | 732×290×366 | |
MDB-6K | 6段・可動棚 | 366×290×1446 | |
MDB-2D | 2段・扉付き | 366×290×494 | |
MDB-3D | 3段・扉付き | 366×290×732 | |
MDB-6D | 6段・扉付き | 366×290×1446 |
※価格および仕様は2019/04/17→2024/03/18現在のアイリスプラザ
カラーバリエーションはオフホワイト、ナチュラル、ウォールナットブラウンの3色です(発売当時のホワイトとブラウンオークは廃番)。
以上の通り、モジュールボックスは実用書やA4ファイルの収納に最適で、押入れの中で使用するなど日本の住宅に合わせやすいサイズが魅力です。しかし、その魅力はほとんど伝わっていないようで、現状は32インチのテレビを乗せるのに最適なTV台として売れているようです。
メーカーも特性を理解していないようで、可動棚板タイプや扉付きを投入するなど迷走感があります。ちなみに、可動棚タイプはどうしてもグラつきが生じやすいので、個人的にはオススメできません。可動棚タイプや扉タイプの投入で、余計に商品特性が伝わりにくくなってしまったようにすら感じます。
ともあれ、これだけ素晴らしい商品がTV台以外は大ヒットと言えるレベルに達していないのはとても残念です。それでも使い勝手が良いことは間違いないので、これから順調に売れていくことを期待しています。
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