プロが教える!壁面収納家具の選び方

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「リビングに壁面収納家具を置きたい!」というご要望は多いです。確かに、モノが増えてゴチャゴチャしてしまっているリビングを見ると、テレビ周りの壁面収納家具にスッキリとモノがまとまって収まったイメージには憧れるものです。ただし、その夢も壁面収納家具選びの段階で失敗してしまっては、残念ながら、後には悲しい現実が待っています。

そんな失敗をしないためにも、この「壁面収納家具の選び方」は購入前に要チェックです!

check point (1) 何を、どれくらい、どのように、置く?


「リビングに壁面収納家具を置きたい!」と思っている方の多くが、「壁面収納家具を置けばスッキリするはず!」としか考えていません。つまり、壁面収納家具を置いた場合のイメージだけが先行し、壁面収納家具に、何を、どれくらい、どのように置くか、ということがまったく考えられていないのです。テレビやAV機器を収めることくらいは考えるのですが、あとは適当に放り込んで、扉を閉ちゃえばスッキリするだろうと安易に考えているのです。言い方は悪いですが、「片付かないのは壁面収納家具がないから」とすら思っているのです。

これは壁面収納家具に限らず、他の全ての収納家具や収納グッズでも同じことが言えます。しかし残念ながら、収納家具や収納グッズは片付けやすいようにあなたを手助けすることはしてくれますが、それだけでは根本的には片付かないのです。

根本的にリビングなどをスッキリ片付けたいのであれば、まず原点に立ち返る必要があります。それが、「何を、どれくらい、どのように置くか」ということを考えるということです。もっと言えば、「自分や家族にとって何が本当に大切か?」ということを考える必要があります。また、ここで言う大切なものとは、リビングに存在するモノそのものではなく、時間や感情のことです。

check point (2) 壁面収納家具は基本的に使いにくいもの

壁面収納家具は大変見栄えの良いものです。ただしそれは家具そのものの見栄えの話であって、前述のように、自分や家族にとって大切なもの、必要なものを見誤ってしまっては、結局他にも収納家具を置く必要に迫られたり、絶えずダイニングテーブルやリビングテーブル、カウンターの上などにモノがゴチャゴチャと置かれることになります。

またそれだけでなく、壁面収納家具は見た目が良いということは、逆に言うと基本的には使いにくいものということが言えます。ここではその詳しい説明は割愛しますが、例えば、多くの方がイメージする壁面収納家具はほとんどが扉付きの棚で、確かに扉付きであれば適当にモノを放り込んでも見た目にスッキリするのですが、扉というのはモノを出し入れする度に開け閉めしなくてはならず、案外使い勝手の悪いものです。収納家具を購入する前は「それくらい大丈夫」と思っているのですが、しばらくすると、残念ながら多くの方が「中に何が入っているか分からない」という状態になっています。

「システムキッチンのシンク下がゴチャゴチャ」、「吊り戸棚の中は何が入っているか分からない」…そういう状態でない方は基本的に心配ありませんが、「ギクッ!」とした人はもう一度、普段の生活習慣を見直してから収納の仕方を考え直したほうが良いでしょう。繰り返しますが、片付かないからと言って壁面収納家具を買ってもそれで片付くということはまずありません。

check point (3) 最大のポイントは引出し

先ほども述べましたが、多くの方が扉式の壁面収納家具をイメージしてしまっている場合が多いです。また、予算面からも扉式のユニットを中心に考えたほうが安く済ませることが出来ます。逆に言うと、引出しを増やすとコストは上がります。それは一般的に引出式のほうが製造原価が高いからです。

また、安い壁面収納家具ほど引出は貧相なものになり、高いものほど引出しが頑丈です。予算を考えるということは大切なことですが、出来れば長く使いたい家具ですので、しっかりと質の面も考えていただきたいと思います。

また、リビングでどうしてもゴチャついてしまうのは小物です。棚は本や雑誌などを収納するには適していますが、小物を収めるには適していません。ですから引出しを多めに取ることが大切ですし、欲を言えば、深さの異なる引出しがそれぞれ何個かあると使い勝手が良いと思います。

check point (4) 壁面収納家具の上置きは割高

壁面収納家具の上置きは、見てもらえば分かりますが、たいてい本体の価格に対して割高です。さらにパモウナのようにフィラーという天井と上置きとの隙間を埋める部材はただの板切れにもかかわらず、かなり割高感があります。

話はちょっと変わりますが、システムキッチンの吊り戸棚が使いにくいという人は非常に多いです。背が届きにくいからですね。しかも、中途半端な大きさだからということも言えるでしょう。しかし、それでも「スペースがもったいない」とか「収納スペースが足りない」と言って他の部屋の天井近くに吊り戸棚を設置する人は結構いらっしゃいます。使いにくいと分かっているはずなのに、しかも具体的に何を入れるかをあらかじめ決めずに、結果、取り付けてから何か適当に放り込んで「収納」ではなく「死蔵」している人が多いのです。

壁面収納家具の上置きも基本的には一緒です。大枚をはたいて梁除けカットをしたものを手に入れても、中にはほとんど何も入れることが出来ません。つまり、高いお金を払ってわざわざ使いにくい収納スペースを作るだけです。

しかし、それでも収納マンとしてはそういう無駄なことを否定するつもりはありません。だって上置きが天井いっぱいまであるほうが格好が良いですから。収納面ではほとんどメリットのない上置きやフィラーですが、インテリア面では有効なのです。

壁面収納家具の上置きは機能性の面では無駄なもの、インテリアを良くしようと思うとどうしてもお金が掛かるものーーーそこは十分ご理解いただければと思います。

check point (5) 壁面収納家具の予算

壁面収納家具の予算を考えるのはなかなか難しいものです。ユニットの組合せ、設置サイズなど、1シリーズの壁面収納家具だけでも何パターンもあり、いくつかのシリーズを候補に考えると、のべ数十のパターンの中から選ぶ必要に迫られ、非常に混乱してしまうからです。

また、そもそも壁面収納家具が一般化してきたのはここ10年くらいのことですから、相場が分からないというのも判断を難しくしているところです。壁面収納家具と一口で言っても、カラーボックスに毛が生えた程度のものから、造り付けで非常にしっかりとしていて機能的で見た目も良いものまで様々であり、それら全てを含めると、価格は10万円くらいから車一台分くらいまでと、本当に幅が広いのです。

ただ、家具のプロの目から見た場合におおよその予算を示すとすれば、天井いっぱいまで設置する場合、だいたい幅90cmあたり10万円と考えてもらえば分かりやすいと思います。逆に言うとそこまでの予算を考えていない場合は、表面の仕上げがプリント紙の「いかにも」という感じのものや、IKEA(イケア)の組立家具などの中から検討することになるかと思いますが、そこはやはり値段相当ですから早期に壊れてしまうことも覚悟しなければなりません。

また逆に、それ以上の予算を確保でき、また持ち家(または分譲マンション)にお住まいでリフォームも検討の余地に入るならば、パナソニックのキュビオスなどは意外と高くないですから、そういう選択肢も良いと思います.。

check point (6) どこで買えば良いか?

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以前は壁面収納家具と言えば、ディノスベルメゾンなどのいわゆるカタログ通販で買うのが相場でした。突っ張り式の壁面収納家具が出始めた頃はカラーボックスの親玉のようなお粗末な商品ばかりで、伝統的な家具メーカーや家具店は「あんなのは家具じゃない」と言わんばかりに見向きもしなかったからです。

商品が改善され始めた現在でも基本的にはその傾向は変わらず、突っ張り式の壁面収納家具を扱っている家具店は少ないですし、家具メーカーも壁面収納家具には手を出しても突っ張り式を採用することはほとんどありません。家具店、家具メーカーというのは基本的に信頼を重視するので、クレームの出るような商品は扱いたくないし、作らないのです。実際、突っ張り式で天井を持ち上げてしまって壁および天井の塩ビクロスが剥がれるケースはよくありますし、吊り天井に突っ張っても耐震性はそれほど期待できないからです。

ちょっと話が逸れましたが、次頁(「徹底比較!壁面収納家具」)で紹介する商品の実物を見ることができる店は少ないですが、すえ木工、堀田木工所、パモウナの商品は国産家具を中心に置いているお店なら他の商品で品質面は確認出来ると思います。パナソニックの商品は全国のショールームで見ることが出来ます。

なお、カタログ通販でもすえ木工の壁面収納家具は取り扱っていますが、一般の方には分からないメーカーも少なくありません。

また、ネットの商品写真はどうしても実物より良く見えるように写真を撮ってあるので、出来るだけ家具店やショールームで確認したいところです。ネットで購入する場合は「商品写真は実物より良く見える」ということを念頭に置いて、質問などに丁寧に答えてくれるショップで購入すると良いでしょう。

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